はじめに:WX03Sと、その時代
スマートフォンが急速に普及し、多機能化の一途を辿っていた時代。その中で一際輝いていたのが、ウィルコムから発売された「ENERUS(エネルス)」ことWX03Sでした。モバイルバッテリー機能を搭載した画期的なPHS端末として、多くのユーザーを魅了しました。
この記事では、そんなWX03Sの魅力を改めて紐解き、当時の思い出や、現代におけるその価値について深く掘り下げていきます。
WX03Sのスペックと機能:モバイルバッテリーが特徴のPHS
WX03Sは、その名の通りモバイルバッテリー機能を搭載したPHS端末です。スマートフォンとBluetoothで接続することで、スマートフォンへの充電が可能でした。
- 基本スペック: コンパクトなボディに、十分なバッテリー容量を備えていました。ディスプレイは程よい大きさで、操作性も良好です。
- モバイルバッテリー機能: スマートフォンを外出先で充電できるという点で、非常に重宝されました。特に、スマートフォンバッテリーの容量がまだ小さかった時代には、その恩恵は絶大でした。
- Bluetooth機能: スマートフォンとの連携はBluetoothで行い、通話やメールの通知をPHSで受け取ることができました。
- その他の機能: 赤外線通信やメール機能など、一般的なPHS端末として必要な機能も備えていました。
WX03Sの魅力とメリット:2台持ちの悩みを解決
WX03Sの魅力は何と言っても、スマートフォンとPHSを併用するユーザーにとっての利便性でしょう。
- 2台持ちの悩みを解決: スマートフォンとPHSを2台持ちしていた人にとって、WX03Sはまさに救世主でした。1つの端末で2つの役割をこなすことができ、カバンの中身がスッキリしたという声も多かったようです。
- 緊急時の安心感: スマートフォンのバッテリーが切れてしまった時でも、WX03Sがあれば安心です。PHSはバッテリーの持ちが良いという特徴があり、緊急時の連絡手段としても活躍しました。
- デザインと使い勝手: シンプルながらもスタイリッシュなデザインで、持ちやすさも抜群でした。直感的な操作性も魅力の一つです。
WX03Sのデメリットと改善点:バッテリーの持ちや機能制限
WX03Sにも、もちろんデメリットはありました。
- バッテリーの持ち: モバイルバッテリー機能を使うと、どうしても本体のバッテリー消費が激しくなる傾向がありました。長時間通話やデータ通信を行うと、バッテリーが切れてしまうことも。
- 機能の制限: スマートフォンと比較すると、アプリの数が少ないなど、機能面での制限は否めません。
現在のWX03S:中古市場での評価とコレクターズアイテムとしての魅力
PHSサービスが終了した現在、WX03Sは中古市場で取引されています。
- 中古市場での価格: 発売当初から人気の高かったモデルのため、中古市場でも比較的高い価格で取引されています。特に、限定カラーや未使用品などはプレミアが付くことも。
- コレクターズアイテムとしての魅力: スマートフォンの普及により、PHSは時代遅れの技術となってしまいましたが、WX03Sのような革新的な端末はコレクターからの人気が高いです。
まとめ:WX03Sが与えた影響と今後の展望
WX03Sは、モバイルバッテリー機能を搭載したPHS端末として、モバイル業界に大きなインパクトを与えました。
- モバイルバッテリー機能搭載端末の先駆け: WX03Sは、モバイルバッテリー機能を搭載したスマートフォンやモバイルバッテリー市場の黎明期を告げる存在でした。
- PHSの終焉とスマートフォン時代の到来: PHSサービスの終了は、モバイル通信業界の大きな転換期となりました。
今後の展望
スマートフォンはますます高機能化し、多様なサービスが提供されるようになりました。しかし、WX03Sのように、シンプルで使いやすい端末を求めるユーザーも少なくありません。
今後のモバイル端末開発においては、WX03Sのような、ユーザーのニーズに寄り添った革新的な製品が登場することを期待したいものです。
セイコーインスツル株式会社(略称:SII、社長:鎌田國雄、本社:千葉県千葉市)は、株式会社ウィルコム(以下ウィルコム)向けのPHS電話機「ENERUS(エネルス)」(型番:WX03S)の販売を、ウィルコムの販売ルートを通じて12月上旬より開始します。
スマートフォンが急速に普及する中、「WEBとアプリはスマホで、通話とメールはケータイで」と使い分ける2台持ちのニーズが高まっています。「ENERUS」はそんな2台持ちニーズに対応したPHS電話機です。
「ENERUS」は、1700mAhの大容量バッテリーを搭載しており、長時間の連続通話や連続待受が可能です。さらにPHS電話機としては世界初 *1となるモバイルバッテリー機能を搭載しているので、USBケーブル接続でスマートフォンなど外部機器への給電が可能です。
給電の際には、「ENERUS」の通話機能に支障が出ないよう、ユーザーが設定したバッテリー残量に到達すると自動的に給電をストップし、通話やメールに必要なバッテリー残量を保つことが出来るので安心です。
また、Bluetooth対応の機器との連携が可能なので、カバンの中に入れたスマートフォンにかかってきた電話を「ENERUS」で受けたり、「ENERUS」からスマートフォン経由で電話をかけることが出来ます。さらにスマートフォンのミュージックコントローラーとしても利用可能で、スマートフォンで再生する音楽をBluetoothを介して、「ENERUS」につないだイヤフォンで聴くことが出来ます。
「ENERUS」は、ENERGY(エネルギー)とUS(私たち)を組み合わせた造語で、他者とエネルギーを分け合い連携することで一層の威力を発揮するパワフルなイメージからきています。
【主な特徴】
1.大容量バッテリーで長時間の駆動が可能
搭載されるバッテリーは1700mAhと大容量で、連続通話時間は約14時間 *2 、連続待受は約45日 *2 と長時間駆動が可能です。また、ノイズリダクション機能を強化し、クリアな音質を実現しました。
2.モバイルバッテリーとしてスマートフォンなど外部機器の給電が可能
USBケーブルを接続するだけでスマートフォンなどの外部機器に給電することが出来ます。ケーブルが接続されたことを感知して給電を自動的に開始するオートモードと、手動で給電を開始するマニュアルモードのどちらかを選ぶことが出来ます。電話機能に支障が出ないよう、ユーザーが設定したバッテリー残量(10~90%)に到達すると自動的に給電をストップし、通話やメールに必要なバッテリー残量を保ちます。あらかじめ設定した連続給電時間で給電を停止することも可能です。
3.さらに快適で便利になったBluetooth対応機器との連携
Bluetooth 標準規格 Ver.2.1+EDR に対応し、Bluetooth対応機器と連携することが出来ます。「ENERUS」は親機モードと子機モードの設定の切り替えが可能で、様々な使い方が出来ます。(親機モードと子機モードは同時には使用出来ません。)
●スマートフォンの着信を受ける/スマートフォンの番号で発信する、の両方が可能です。例えば、スマートフォンをバッグに入れたまま、「ENERUS」を経由して通話が出来ます。
●「ENERUS」がミュージックコントローラーとなり、スマートフォンに保存された音楽を聴くことが出来ます。(子機モード時)
●電話帳データの送受信が可能です。(親機モード・子機モード時)
●カーナビやヘッドセット機器など、Bluetooth対応機器と連携してハンズフリーで通話することが出来ます。(親機モード時)
4.見やすく使いやすいシンプルな外観デザイン
丸みを帯びた筺体は、手に馴染みやすく握りやすい大きさで、テンキーは見やすく押しやすいデザインです。また、画面サイズは2.4インチと、ストレート型端末としては大きく視認性に優れています。
【主な仕様】
商品名 | ENERUS(エネルス) |
型番 | WX03S |
サイズ | 約W50 X H124 X D13.6 mm(突起部除く) |
質量 | 約111g(バッテリー装着時) |
使用電源 | DC3.7V 1700mAh リチウムイオン電池パック |
連続通話時間 | 約14時間 *2 (モバイルバッテリー機能がマニュアルモードの時) |
連続待受時間 | 約1,100時間 *2 (モバイルバッテリー機能がマニュアルモードの時) |
ディスプレイ | サイズ:2.4インチ 解像度:240×320(QVGA) 表示色数:65,536色/TFT |
メール | Eメール(POP3/SMTP対応)、ライトメール |
モバイルバッテリー機能 出力 | USB-A(DC 5V / 最大 500mA) |
給電モード | オートモード(自動で給電を開始) *3 マニュアルモード(手動で給電を開始) |
赤外線通信 | あり |
Bluetooth 機能 対応バージョン | Bluetooth 標準規格 Ver.2.1+EDR 準拠 |
Bluetooth 機能 出力 | Bluetooth 標準規格 Power Class 2 最大10メートル(環境により変化) |
Bluetooth 機能 対応プロファイル | HSP/HFP(親機モード・子機モード) /A2DP/AVRCP/PBAP/OPP |
インターフェース | USB2.0準拠(micro USB端子) |
イヤホンジャック | 丸型3.5㎜φ |
セキュリティ | リモートロック、リモートロック代行、管理者ロック |
主な付属品 | 電池パック、取扱説明書 |
*1 2011年以降発売のPHS電話機において、2012年10月31日現在、当社調べ。
*2 通話・待受時間はご利用環境、使用頻度、設定によって異なります。
*3 すべての機器において自動給電を開始することを保証するものではありません。
発売日 2012年12月13日
https://www.sii.co.jp/jp/news/release/2012/11/01/3563/