
ソニーのVAIO VGC-V174Bは、2004年ごろにリリースされたユニークな「オールインワンPC」の先駆けといえる存在でした。当時は、まだデスクトップPCとディスプレイが一体化しているデザインが珍しかったため、多くのユーザーに驚きを与えました。
1. デザインとマーケティングの挑戦
VAIOシリーズは「美しいデザインと実用性」を重視しており、VGC-V174Bも例外ではありません。特に、ソニーが「テレビのように使えるPC」というテーマで設計したため、リビングにも馴染むデザインを目指していました。ソニーはこのモデルをリビングのエンターテインメントハブとしても使えるよう、メディア機能やマルチメディア対応に注力しました。テレビチューナーが搭載されており、PCでテレビ録画ができるのは当時としては斬新でした。
しかもその録画した動画をDVDに保存できたり、動画を取ってDVDに残すため編集したりととても使えるTVパソコンでした。
デザインもSONYらしくどの角度から見ても美しく、背面のケーブルなどもスッキリ隠れるようにカバーを装備してました。カラーはホワイトとブラックの2色で17インチはホワイト、20インチはホワイトとブラックでライフスタイルや好みによって選べました。
キーボードやマウスもワイヤレスだったため、少し離れた所からの操作性も良かったです。
ソニー独自のDo VAIOのソフトでテレビ、音楽、写真、DVDなど様々なコンテンツも専用のリモコンで直感的に操作がスムーズにできました。
その他、Click to DVDで撮影した動画をDVDに仕上げたりできるソフトなど実用ルールも数多くプリインストールされてました。
2. 「重さ」と「ポータビリティ」への期待外れ?
17インチワイドディスプレイでコンパクトなオールインワンの薄型PCとはいえ、このモデルは実際には10キロ近くあり、ユーザーからは「移動が難しい」との声も多かったそうです。部屋間の移動には少し重く、持ち運びやすさではやや不便でした。これを教訓に、ソニーは後続モデルで軽量化をさらに進めることに繋がったと言われています。キーボードも一体化したモデルや、フレームがガラスになったデザイン、完全に液晶テレビのような薄型のVAIOも登場しました。
3. 冷却の問題
オールインワンPCの宿命ともいえるのが冷却問題でした。この機種も、薄型デザインと高性能部品が詰め込まれているため、内部温度が上昇しやすく、長時間の使用でパフォーマンスが落ちることがしばしば報告されていました。ソニーはこれに対処するため、ファンの回転数を上げたり、放熱設計を工夫することで対応しましたが、ファンノイズが少し大きめという評価もありました。
4. 「VAIO」ブランドが影響力を持つ時代の最後期
VAIOは2000年代初頭に「スタイリッシュで革新的」というイメージを確立していましたが、このVGC-V174Bはその影響力の頂点とも言えます。以降、VAIOブランドは競争が激化する中でソニーのパソコン事業の縮小に向かっていきました。VAIOがこのスタイルとブランドイメージで一世を風靡していた時代の象徴とも言える機種ですね。
このように、VGC-V174Bは当時の技術やデザインへのこだわりを詰め込みながらも、将来的なPCデザインのヒントを多く残したモデルといえます。